釧路菓子商組合

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お菓子釧路菓子職人めぐり


 お餅とラーメン。全く異なる二つの商品を取り扱う店として親しまれている『もち処 甘善』。どちらか一方に傾くこと なく、両方の人気を確立させた店主、広羽征二氏にお話を伺いました。

広羽氏は高校を卒業後、釧路を離れ道内の企業に就職。22歳のころ帰釧し、お店を継がれました。小さい頃からお店を手伝っていた経験はあるものの、最初は戸惑うことも多かったと広羽氏は話します。
「菓子作りは、日々の研鑽。下積みの時代、その技術をいかに体得するかが重要だった。餡一つ作るにも、火加減一つで味が変わってしまうから」
昭和34年に『お餅屋 甘善』として開店し、最初はラーメンを提供していなかったそうです。開店2年後、当時の十條製紙工場(現 日本製紙釧路工場)の従業員の方に「しょっぱいものが食べたい」とリクエストされたことがきっかけで、提供を始めたと言います。それから50年以上、餅とラーメンはともに愛されてきました。

人気商品は『もち入りラーメン』です。お餅が3つも入ったボリューム満点のラーメン。シンプルな味付けは餅の存在を消すことなく、絶妙なバランスがその一杯の中にあります。餅屋が作る『もち入りラーメン』は、各地から釧路を訪れる旅行者の方々に不思議がられるメニューですが、このラーメンを目当てに来店される常連客もいるほど支持をいただき、長年の定番商品となりました。

春夏秋冬、季節に合わせ各種大福餅や串団子、さくら餅、おはぎ、赤飯など原料にこだわり、手に入る限りの良いものを使用して毎日仕込みをしています。お菓子というと、十勝が有名ですが、釧路にも一品一品素晴らしい商品を持った店舗がたくさんあると広羽氏は言います。各店舗にあるその一品を市民の皆さんに再発見してほしい。
「マニュアルがあるわけでもない。餅はその日の湿度や気温でも作り方が違う。餅というのは一日経ったら固くなってしまいます。」
自身が思う餅の形を貫き、広羽氏は「一日限り」に誇りを持って今日も商品を作ります。